『マンガでわかる! 仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン 』著者三上ナナエさんインタビュー
シリーズ13万部突破『マンガでわかる! 仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』の著者、三上ナナエさんに上手な気遣いの方法などお聞きました。
大学卒業後、ANA(全日本空輸株式会社)に客室乗務員として入社。失敗ばかりの日々を経験し、その中で自分なりの「気遣い・気配り術」を見出す。その後、チーフパーサー、グループリーダー、OJTインストラクターを経験し、後輩指導にも当たる。退社後、研修講師として活動。独自の切り口で行う接客、接遇、コミュニケーション力向上セミナー、ビジネスマナー研修などは、官公庁や商社、大学など多数で採用され、受講者総数は18,000人以上。年間80回以上の企業研修を任されている。
『マンガでわかる! 仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』は、客室乗務員の主人公が日々仕事に奮闘しながら、日常や仕事で役に立つ「気遣い」を学んでいきます。失敗したり悩んだりする姿は、ANAの客室乗務員時代の三上さんご自身の体験だそう! 入社当初は気遣いベタだったという三上さんが、なぜ「気遣いの達人」としてチーフパーサー、OJTインストラクター、さらに研修講師として活躍することができたのでしょうか。
―――三上さんはANA時代に多くのことを学ばれたようですが、ANAとはどのような会社でしたか?
後輩に対して、細かく丁寧に教えてくれる先輩が多く、とても恵まれていました。フライトのメンバーはとても仲良く、お客さまへの気遣いはもちろん、メンバーへの気遣いも忘れずにきちんとする風潮でした。
―――仕事中、大変だったエピソードがあれば教えてください。
ひじ掛けの取り合いなどでお客さま同士がもめてしまうことがたまにありました。そういうトラブルは事前にお止めしなければいけませんので、こちらから先に気遣いを見せ、お声がけをするようにしていました。お声をかけることで、トラブルを未然に防止できる場合があるからです。
「気遣い」は相手の反応を見ながら、ボールを変える
―――本書は販売員などの接客業や、営業職など人と接するお仕事をされている方にとても役に立ちそうな内容ですね。気遣いをしていいのか、迷うときがあると思うのですが、その場合判断材料などがあれば教えてください。
お声をかけたとき、相手の表情をよく見るといいです。目が嬉しそうじゃなかったら「なにかあったら声をかけてくださいね」と言ってさっと引きます。またどうしてほしいか選択肢をいくつかご用意して差し上げるのもいいと思います。相手の表情を見逃さずに観察し、嬉しそうだったら押してみる、だめだったら引いてみます。
―――相手の表情を見てから、気遣いを続けるかどうか判断するということですね。
そうです。でもまずは「やってみる」ことが大切です。また勝手な思い込みでやらなかったりすると想定と異なる場合があります。例えば、「無口そうだからそっとしておこう」と思っても、実際お声がけしてみると、気さくに話してくださる方もいます。気遣いは相手の反応を見ながら、ボールを変えていくのがポイントではないかと思います。
初対面では相手をよく観察。雰囲気をマネてみると共感を得られやすい。
―――本書に気遣いをする相手を「タイプ分け」して対応する方法が書かれておりましたが、初対面ではなかなか難しいかと思います。どのように見分けていらっしゃいますか?
相手の動きや話すスピード、声の大きさなどをよく観察します。ゆっくり話す人には比較的スピードを落として話したり。相手に寄り添って、違和感ないようにマネをするといいですよ。
―――マネをすることで、相手が自分に共感をしてくれるということでしょうか。
かけ離れると人間って味方って思えないんです。はじめからまったく違う人間だと認識して臨むと、心の準備ができるのですが、自分と同じだろうと思って接すると、まったく違ったときにショックを受けます。
―――わかります! 自分が「よかれ」と思って気遣いしたのに、相手の反応がイマイチだったときは「失敗した!」と思います……。
「失敗した」と察知できるのは相手のことをよく観察しているということだと思います。失敗がわかるのは、相手の反応を気にかけながらやっているので。「普通こうするよね」と思うより、「自分と相手は違う」とはじめに認識して、接するほうがいいですよ!
言いにくことを上手に伝えるコツ
―――伝えるコツについて本書で「Iメッセージ」をご紹介されていました。そのほか、言いにくいことを上手に伝えるコツがありましたら、教えてください。
まずは相手の人格を責めないことです。これは必ず自分に言い聞かせておきます。相手の人格に関わらない「事実」を伝え、それに対して、周囲にどんな影響があるかを伝えていきます。
例えば、遅刻してしまう相手には「今、9:05だよね」などと言ってみましょう。「だらしないよ」「気合入ってないよね」「最近たるんでるよね」とは言わないようにします。相手は責められたと思うと、心が折れちゃったりするので、まずは事実をきちんと伝えます。
―――相手は事実を聞いて、改善してくれるんでしょうか。
いや、事実だけだと弱いです。この場合、「5分前にはパソコンが立ち上がっているようにしようか」と具体的にどうしようかというところも付け加えると反省をしてくれやすいです。ポイントは「事実・影響・改善点」の3つをしっかり伝えることです。
―――上司から部下への気遣いも大切なのでしょうか。
そうですね。パワハラにならないよう部下を改善させる「気遣い」のトレーニングは、最近重視されています。
部下とコミュニケーション不足にならないように上司から部下への「報連相」はこまめにするといいです。それがお手本になり、部下がきちんと「報連相」できるようになります。
また伝える技術で、「クッション言葉」も有効です。何か相手にお願いをするときは、「ご面倒おかけしますが」「お忙しいところ恐縮ですが」というのをあたまにつけます。ポイントは、毎回重ねて使わないようにすることです。同じことを繰り返すと口ぐせのように聞こえてしまうので、効果が薄れます。
相手の評価を気にしすぎない。気遣いはまず「やってみること」から。
―――「気疲れ」という言葉があるように「気遣いしすぎ」て自分をすり減らしてしまうことがあるかと思います。どのように気持ちを保てばよいでしょうか。
「気遣い」は、相手の反応を気にしすぎると疲れてしまうので、自分が元気なったり、楽しくなればいいくらいの気持ちでやってみましょう。3歩先くらいを考えると挙動不審になるので、1歩先くらいをみるかんじです。
また「声をかけよう」と思ったこと自体が気遣いなので、評価を期待しすぎないこともポイントです。気遣いをすることが自分のリズムになるまでやり続けるのが大切です。
相手にとって嬉しいと思う気遣いは「ちょっとしたこと」。さりげないひと言や些細な行動が相手にとって気持ちの良い気遣いになるそうです。「気遣いってちょっと苦手だな」「気遣いの仕方がわからない」と感じている方にはぜひ読んで頂きたい一冊です。
三上ナナエ 著、柏屋コッコ 作画
出版年月日:2018年09月25日刊
ISBN:9784799107386
定価:本体1,300円+税
【本書の内容】
シリーズ12万部突破! 元ANAのCAがつかんだ「気配りの極意」をマンガ化!
・「すみません」を無意識に使わない
・「念のためお伝えしますね」のひと言を添える
・「お辞儀」は3秒でできる最上級の気遣い
・あえて「しない」という配慮
一生使える「気遣い」のコツが満載!
【目次】
第1章 「小さな気遣い」で仕事も人間関係もうまく回り出す
第2章 まずは身につけたい「会話」の気遣い
第3章 相手の印象に残る「見た目」の気遣い
第4章 絶妙なさじ加減で、気遣いができるようになる
第5章 一歩先の気遣いで「誰からも好かれる人」に
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