【第６回実況中継】大嶋信頼先生「あなたの才能があなたを苦しめる」発売記念セミナー

人は「発作」でウソをつく

ーー本書では、嫉妬の発作を起こすと、ウソをつくことについて書いてくださっています。他人からウソをつかれたとき、どう対策すればいいのでしょうか。

大嶋　嫉妬の発作を起こすと、破壊的な人格になるという話をしました。次は「ウソ」についてお話していきましょう。例として、私が同窓会に行ったときの話をします。

　当時、成績優秀だった子が、いきなり私に向かって「大嶋君ってまったく勉強ができなかったよね」と言い始めました。「えー？　いや確かにそうだったけど、今ここで（同窓会の場で）それ言う？」と思いました。その子は、「かばんも汚かったし」とも言い出した。
　
　でも「いま、あなたは幸せそうにしていて、羨ましい」というのが、その子の本音。だから、「大嶋君って勉強できなかったよね」というのはウソなんです。大体こっちが不快になる言葉ってみんなウソ。でもそれを聞いた周囲の人は、真実だと思っちゃうよね。「確かに勉強できなかったよな」みたいなね。そうなると、ウソをつかれた側はどんどん傷ついていくわけです。

　それで、どんどん自分はダメなやつなんだと思いこんでしまう。嫉妬の発作を起こしたとき、人は破壊的な言動をするから、それは「大体全部ウソである」思ったらいいんです。言った本人は、「自分が正しい」と思っているから、ウソをついているという自覚は全くありません。

不快と感じる言葉はウソ

　いい例がイエス・キリストの話。イエスを十字架にかけた人たちがいますよね。イエスは十字架にかけられながら、その人たちに向かって、「この人たちは自分で何をしているかわかっていないのですから」って言ってたのね。ちゃんとイエスは知っていたわけです。彼らは、発作を起こして、自分を十字架にかけていると。

　イエスは、自分を「神の子」と言って、周囲から「イエスってすごい」とほめたたえられていました。

　それが発作を促して、イエスは十字架にかけられることになった。繰り返しますが、発作を起こすと、人は破壊的な人格になってしまう。そこで出てくる言葉はすべて真実ではないんです。何ひとつそこに真実はない。だから、自分が不快だなと感じる言葉はウソの可能性がある。そこには何ひとつ真実がないから、だいたいウソだと思ってほしい。

　全部ウソと思うのは、抵抗があるかもしれないですが。ブッダの言う「空」でたとえると、「無」です。すべて「無」なのです。だから何ひとつ真実がなく、実態がない「無」であるということ。
　そう考えれば、発作を起こして破壊的な人格になった人から傷つけられなくて済みます。全部ウソっていうのは非常に素晴らしいことなんです。

空の空、すべて空

　私が留学する前に一番好きだった言葉は、「空の空、すべて空」。これを英語で覚えていったのね。” Vanity and vanity, everything vanity”ってね。Vanityっていうのは「空」ていう意味ね。すべては「空」っていう。これを誰かに英語で言ってやろうと思っていたわけ。一回も使うことはなかったんですけどね。だから、嫉妬の発作を受けても、相手が言っていることは、全部ウソだと思うと、苦しくないんです。（つづく）　