【第1回】大嶋信頼氏 連載コラム/ 自分より「良い境遇の人」「優れている人」を見ると嫉妬してしまう

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「あの人ばっかり、ずるい!」「自分はどうせ…」

仕事の能力や人間関係、容姿、学歴、など、「自分より良い境遇」と思う人に嫉妬してしまうことはありませんか?

「あの人ばかりかわいがられてずるい」
「なんでアイツばっかり良い仕事をもらえるんだ!」
「チヤホヤされるあの人が羨ましい」
「どうせ私なんて…」
「不公平だ!」

嫉妬や恨みなどのネガティブ感情は消そうと思ってもなかなか嫉妬心を抑えることは難しいもの。

自分が相手に嫉妬してることすら、気づかないことがほとんどです。
この連載ではつい誰かに嫉妬してしまう仕組み、嫉妬されてしまう仕組みと嫉妬のしがらみから抜け出す方法についてご紹介していきます。

嫉妬について、私の幼少期を思い出してみます。

小学生の頃、弟に針金のハンガーを投げつけて泣かせて、両親から殴られたことがありました。
「あのときなんであんな酷いことをしちゃったんだろう?」と不思議になりますが、振り返ってみると記憶から抜けていた面白いことが発見できたんです。

小学生の頃、私は家族とウサギ小屋のような汚い平屋に住んでいました。ある日父親が中古物件を見つけてきて、2階建ての新居に引っ越せることになりました。父親はその物件を買うために借金をして、祖母が借金で足りない分を同居することを条件に肩代わりしてくれることになりました。

結局、祖母が2階を独占してしまったので、それまでの家の狭さと同じになってしまいました。
でも、新居で家具もまだ何もなかったので、広々としていました。

その中で無邪気に走り回る弟。小学生の私は「走っちゃダメでしょ!」と追いかけます。

小さくて小回りが利くすばしっこい弟になかなか追いつけなくて、落ちていたハンガーを弟に向かって投げつけてしまいました。
案の定、「びえ~ん!」と弟が泣きじゃくります。

「え? なんてことをしてしまったんだろう?」とそのときの自分自身でもびっくりします。

弟を傷つけるつもりはまったくなかったのに、気がついたらハンガーを弟にぶつけていたんです。両親に殴られて、私は泣きながら「弟が走るからいけないんだ!」と思っていました。

格下のはずの相手が自分よりも優れた能力を持っているから?

一般的にこの現象を見たときに「弟が自分よりも速く走ることができたから嫉妬した」と解釈されるでしょう。

「弟は自分よりも小さいくせに自分よりも速く走っている!」という弟の運動能力に嫉妬をした、というのが一般的な嫉妬の原因になります。

ここでは、「自分よりも下の存在が自分よりも優れたものを持っている!」という条件で嫉妬の発作が起きる、と定義します。

格下の相手が自分よりも優れた能力を持っていると嫉妬の発作が起きて、「酷い人格に変身!」してしまい、「したくもない酷いことを相手にしてしまうやろ~!」となっている、と考えられます。

私が弟にしたのと同じようなケースがあります。

会社の上司が「なんだ! この書類は!」とある女性に書類を投げつけます。
私はそれまでの話の流れを聞いて「あ! 上司が女性に対して嫉妬の発作を起こして小学生の私のようなことをしている!」と思って女性に伝えます。すると女性は「私なんか嫉妬されるようなものは何もないのに!」とおっしゃるんです。みんなよりも仕事ができないし、上司が自分に嫉妬をする資質が自分には見当たらない、となるんです。

たぶん、当時の弟からしたってそうだと思うんです。7歳も年が離れていたので体格も体力も知識量だって「全然嫉妬するようなものを僕は持っていないじゃない!」と怒るはずです。

本当の嫉妬してしまう理由

普通の人は「相手が自分よりもいいものを持っているから嫉妬する」と思っているのですが、“嫉妬の発作”が起きる原因って、ちょっと違うところにあります。

私の場合は、貧乏くさい汚い家で両親からものすごく厳しく躾けられて、毎日のように叩かれ泣きながら育ってきました。
「いい子でなければ愛されない」と思っていつもそのことばかり考えていたんです。ところが弟が生まれてから「弟がトイレに落ちたら大変!」となって水洗トイレがある家に引っ越すことになりました。そして、弟が新しい家で走り回っていても、弟は両親からたしなめられない。もし私がそんなことをした日には母親からつねられて、父親からひっぱたかれていたのに「弟はずるい!」となるんです。

ここでの「ずるい!」は「私がもらうはずの両親からの愛情を弟が全部奪ってしまうかもしれない」です。

無邪気に走り回る弟を見ている両親の目はものすごく優しかったんです。
その優しさは私がいい子になって得るはずだったのに「弟に両親の愛情を奪われるかもしれない! ずるい!」となって“嫉妬の発作”が脳内に起きちゃって、そして、私は暴力的な人格へ変身してしたくもないことをして、ますます両親から嫌われて「ますます愛情を奪われちゃうやろ! ずるい!」と発作が治らなくなりダメダメ人間のまま生きることになってしまいました。

これを上司から嫉妬される女性に当てはめてみます。

上司は「会社から認められるために一生懸命に働いてきたのに、あいつは仕事ができなくても無邪気に生きていて会社からクビにされないなんてずるい!」となります。

私の弟の件と重ねてみると「愛されるカリスマ性」に嫉妬していると考えられます。
私は努力をしなければ愛されないのに、この人は努力をしないでも愛される(クビにならない)のはずるい! と思ってしまうのは、自分への愛が相手に奪われるような感覚になるから。

弟に嫉妬すればするほど、両親の優しい目は弟に向けられて、私には冷たい眼差ししか向けられなくなり「私が受けるはずの愛情が弟に奪われた」とますます“嫉妬の発作”が治らなくなり、という悪循環の中で潰れていったんです。

ー次回はさらに嫉妬の真相に迫っていきます!(次回は2017年10月20日配信予定)

余談エピソード
私が嫉妬をした場面を振り返ろうとしても「あれ? 自分って嫉妬したことがあまりないかも!」と思ってしまいます。なぜなら、“嫉妬”は「発作」だから「記憶から抜けちゃう!」という性質があるんです。私も今回「大嶋先生が嫉妬した体験談を」というお題をもらっても、うまく思い出せませんでした。そこで「自分の過去の不可解な行動」を思い出してみよう! と思ったときに、小学生の頃に弟にハンガーを投げつけたエピソードを思い出したのです。「自分に都合が悪いことは忘れて!」と周囲から思われちゃいますが、自動的に記憶から抜けてしまいます。
思い出そうとしても、嫉妬の発作で記憶がうまく改ざんされていて「自分が嫉妬したんじゃない!」となってしまうからです。まあ、一般的な心理学では「自分の“嫉妬”という醜い部分を見たくないから思い出さないようにして自分を守っている!」という解釈ができるのかもしれません。それもあるかもしれませんけど、発作で記憶が変わってしまうために、「自分が嫉妬をした」という記憶がなくなっちゃうんです。

>>【第2回】はこちら


大嶋信頼氏プロフィール
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。現在株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。ブリーフ・セラピーのT.F.T.(Thought Field Therapy)を学び認定トレーナー資格取得。
ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。 著書に、『言葉でホルモンバランス整えて「なりたい自分」になる!』『それ、あなたのトラウマちゃんのせいかも?』『無意識さんの力で無敵に生きる』 『支配されちゃう人たち』 『ミラーニューロンがあなたを救う!』(以上、青山ライフ出版)、『サクセス・セラピー』(小学館)、共著『児童虐待〔臨床編〕』(金剛出版刊)、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』(以上、すばる舎刊)がある。


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1件のコメント

  1. 嫉妬はされる方も辛いですが、する方も相当つらいと思います。

    以前の職場で私に嫉妬する同僚がいました。
    同僚は私に仕事を回さず独り占めして、後から上司に私が仕事をやらなかった事にして報告するという露骨な嫌がらせをしていました。
    この嫉妬による嫌がらせは他の同僚にも被害者がいて、おそらく自分よりも若い者に対して嫉妬して嫌がらせをしていたようで、結局は上司も気が付いて注意するのですが嫌がらせが止められないのです。
    嫉妬される側の私としては段々と嫌がらせにも慣れてしまい、同僚の近くで平然と仕事をしていると「あ!」とか「痛っ!」という声が聞こえてきます。
    「どうしたんですか?」と見ると、嫉妬する同僚はお皿を割ったり、熱々になったガラス製の鍋蓋に冷水をかけて割ったりとミスをしてしまうのです。
    普段の同僚であればミスなどしない完璧に仕事をこなす方なのですが、嫉妬の発作状態ではあり得ないミスを連発してしまうようなのです。

    その同僚はとても優秀な方なのですが、嫉妬の発作によって不随意的なミスを連発することで本来の能力に見合った評価が得られないというのは相当に辛いものだったと思います。

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