【第3回】大嶋信頼氏 連載コラム/嫉妬されて足を引っ張られなくするコツ
営業の仕事をしているとある女性の話です。女性はお客様から「あの人に担当してもらってよかった!」と感謝されることが多く、営業成績もそこそこよかったそうです。女性は「営業の仕事だけでなく、会社自体が良くなるようないい仕事をしよう!」と思って、職場の効率をよくする提案をしました。
しかし、女性が提案したことは先輩からかたくなに拒否されて延々と無駄なことをやらされます。
女性は「もっと効率的なやり方があるのに!」と思いながら、無駄だと思うことをやらされていたため、だんだんストレスが溜まっていきました。そして、体調を崩してしまい、会社を数日休むことに。
休み明けに女性が出勤すると、周りの人の目がいきなり冷たくなっています。そしてさらに無駄な仕事ばかりやらされるようになって、良い仕事を全然回してもらえなくなってしまったんです。
無駄なことをやらされて、ストレスが溜まって、そして体を壊す、ということを繰り返していたら「あなたはこの部署には必要ないし、もっと楽な仕事の場に行きなさい!」とさらに無駄な仕事ばかりやる部署に左遷させられてしまいました。
「え~!? あんなに営業成績を上げていたのになんで!」と女性はもう仕事にやる気が起きず、ミスばかりして、どうでもいい部署の人からダメ出しをされて、ますます仕事ができない人になってしまいました。ついに「このままだと転職だな」という状況に追い込まれてしまったんです。
嫉妬される側は「私が何か悪いことをしてしまったんだろうか?」と考えます。
そして「相手の気分を悪くするようなことをした私が悪い」「嫉妬されるようなことをした私がいけないんだ!」と反省してしまうんです。
でも、こちらが反省すればするほど、相手の嫉妬は止まらなくなります。
だからと言って逆に「相手は嫉妬をして私を陥れようとしている!ひどい!」なんて反応をしてしまうと、相手の嫉妬はよけいひどくなってしまうんです。
嫉妬をしている相手は、わけのわからないことを言ってきたり、職場の場合だと「間違った指示」などをしてきますが、それは「意図して相手を陥れよう」としているのではありません。
嫉妬の発作を起こしてしまうと、意図していないのにひどいことをしてしまうのですが、“発作”なので本人は「ひどいことをしている」という自覚がまったくないのです。“発作”で変な言動をしてしまうので「え?そんなこと言ったっけ?」と記憶にすら残っていなかったりするんです。
そうなんです!嫉妬って動物的な発作だから、本人が意図して嫉妬しているわけではないんです。
この「動物的な発作である」ということが理解できると、嫉妬されたときに「あ!発作を起こしている!」と見ることができます。
発作はこちらが「なんとか止めなければ!」とすればするほど、「炎上してまうやろ~!」と相手の発作が連発してしまいます。
相手の嫉妬を起こさないようにすればするほど、嫉妬の発作の頻度は増して「え?そんなことで嫉妬するの?」とちょっとしたことでも相手が嫉妬するようになってしまうんです。
私たちの業界では「発作またぎ」というのがあります。
発作を起こした相手を「なんとかしてあげよう」と触れば触るほど、発作が頻発して、そして発作が酷くなりますから、「またいで去ってしまえばいいんだ!」という対応をします。すると「あ!発作が起きなくなった!」と面白い現象が起きます。
「相手の嫉妬に対処しなきゃ大変なことになる!」と思って対処したら大変なことになりますが、「またげば何も起きなくなって、嫉妬は自動的に収まるんだ!」というのがとっても面白いんです。ですから、嫉妬が起きたときは「嫉妬の発作が起きてる!起きてる!」とまたいでしまえば、やがて嫉妬されなくなるんです。
職場で上司から嫉妬されて「足を引っ張られて仕事がやりにくくてしょうがない!」という男性がいらっしゃいました。その方に「嫉妬の発作の特徴」をお伝えします。
発作だから「相手は言ったことを覚えていない」と「発作だから発言の意図はまったくなくて、オナラのように意図せずに出てしまうものである」ということ。
そして、嫉妬の発作を起こしている相手の発言を真に受けたら、ますます相手の嫉妬心を燃やしてしまうので、「発作またぎが有効!」とお伝えしたんです。
その男性は報告、連絡、相談をしている体で、一応上司の意見を聞くのですが、上司はたいてい嫉妬の発作を起こしているので、ろくな意見を言いません。
そこで、上司が嫉妬して変な意見を言っているときには相手にせず、「嫉妬の発作またぎ」でスルーするようにします。
“報告”のときは、「上司からもらったアドバイスのおかげでうまくいきました」という感じで報告すると、上司が嫉妬して変なことを言う頻度が減っていきました。
以前は上司の嫉妬の発言で「仕事ができることを証明しなきゃ!」と思ってやればやるほど、ダメ出しをされたり嫌味を言われたりするので「つぶされる~!」と思い、ちゃんと仕事に集中できなくなっていました。
「嫉妬って発作なんだ!」と理解して、「〇〇課長のおかげで」と報告、連絡、相談の中に言葉を入れるだけで「嫉妬が起きなくなって仕事がしやすくなった!」とびっくりします。
上司が嫉妬の発作を起こさなくなったときに、その男性が「〇〇課長がおっしゃった通りにこの案件をやったらうまくいきました!」と伝えると、上司から「え?私、そんなこと言ってませんけど!」と言われます。
「あれ?発作が起きてないから記憶が飛んでいない!やばい!」と一瞬焦ります。
でも「発作またぎ」を思い出して、「相手にしなくていいんだ!」ということが瞬時にわかり、「あ!そうでしたか!」とその場を何もなかった顔をして去っていける自分がそこにいるのです。
いつも浮かない顔をしていた男性は、「嫉妬は発作なんだ、と考えてみると面白いですね!」と嬉しそうに素敵な笑顔で私に話してくださったんです。
バックナンバー
【第1回】自分より「良い境遇の人」「優れている人」を見ると嫉妬してしまう
【第4回】「文章が下手…」「容姿に自信がない…」自分を苦しめる劣等感
【第6回】嫉妬がなくなると人間関係の悩みが消え、自分に軸ができる、人に振り回されなくなる
【著者・プロフィール】
大嶋信頼(おおしま・のぶより)
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。現在株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。ブリーフ・セラピーのT.F.T.(Thought Field Therapy)を学び認定トレーナー資格取得。
ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。 著書に、『言葉でホルモンバランス整えて「なりたい自分」になる!』『それ、あなたのトラウマちゃんのせいかも?』『無意識さんの力で無敵に生きる』 『支配されちゃう人たち』 『ミラーニューロンがあなたを救う!』(以上、青山ライフ出版)、『サクセス・セラピー』(小学館)、共著『児童虐待〔臨床編〕』(金剛出版刊)、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』(以上、すばる舎刊)がある。
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