どうしてうちの子、落ち着きがないの? 落ち着きが良くなる実践エクササイズ
ごはんを食べ終わっていないのに立ち歩いたり、電車の中で走り回ってしまったり……。「どうしてうちの子だけ、落ち着きがないんだろう」と思うことがしばしばあります。子育てに悩む多くの原因は、子どもたちの行動が理解できないことにあるそうです。
で、今回ご紹介する本はこれ。
『無理なく着実に才能を伸ばす! 脳に任せるかしこい子育て』(菅原洋平、菅原未涼 著)
子どもの行動を生理学的に見て、脳内で起こっていることを理解して、子育ての悩みを解決するという本です。
例えば、子どもが朝起きられない原因を「だらしない性格」や「言うことを聞かない頑固さ」と心理面から考えるのではなく、「夜、眠るために必要なメラトニンが脳内に十分に出ていないからだ」と生理現象から考える、ということです。
ほお。
本書によると、子どもの行動は一見不可解に見えても、脳は必ず何かをしようとしていて、それを見抜いて対処すれば、高い能力を引き出すことができるそうです。
では「落ち着きがない子」について、ちょっと考えてみましょう。
落ち着きがなくなる原因
電車に乗ったとき、落ち着いて座席に座っていられず、走り回ってしまうことがあります。ほかの乗客の迷惑にもなるので、親としてはなんとかやめさせたいところ。
本書によると、この落ち着きがなくなる原因は「前庭感覚の閾値(いきち)が高すぎて、電車の揺れに合わせて小さく体を動かせないので、倒れないように派手に体を動かしている」としています。
ええ、全くなんのこっちゃ分かりませんね。
ここでちょっと立ち止まってお勉強。
本書は、人体に備わっている5つの感覚を厳選して紹介しています。
1.前庭感覚
2.固有感覚(筋感覚)
3.触覚(体性感覚)
4.視覚
5.聴覚(言語)
これらの感覚は脳をしっかり働かせるために重要な感覚で、それぞれの感覚がどのような情報を脳に届けているか、またその情報の結果、子どもがどんな行動をしてしまうか解き明かしています。
前庭感覚とは、体にかかる重力や揺れを情報として脳に送り出し感じることを言います。一般的に「平衡感覚」とも呼ばれています。この「揺れた」感覚が鈍い(前庭感覚の閾値(いきち)が高い)と、電車の揺れの強さやタイミングなどをうまく感じられない状態になります。
体の揺れを感じにくいと、倒れないように走り回るなどしてあえて体を動かし、揺れや傾きを感じられるようにバランスをとるようになります。走り回ってしまうのは、その子なりの電車の揺れへの対処法なのです。
電車内で落ち着かせるには?
前庭感覚の閾値(いきち)を調整するエクササイズで、電車内で走り回らないようにしてみましょう。
本書では、「一歩動いたら負けゲーム」というのをご紹介しています。
【方法】
1.電車の中で、子どもの両足を肩幅くらいに開かせ、手すりなどにつかまらせずに立たせます。
2.電車の揺れに身を任せるようにして、左右どちらかの足が一歩でも動いたら負けとします。
※周りの人にぶつからないように気をつけてください。
前庭感覚と固有感覚(筋感覚)をバランスよく使って、姿勢を保つことが上手になると、電車内でも落ち着いて行動できるようになるそうです。
生理学を使って子育てをしていくと、親自身がイライラしなくなり、子ども自身も自ら行動し、成長するようになります。親自身が脳の仕組みを知って、ほんのちょっと習慣を変えるだけで、子どもの行動が大きく変わるなんて、画期的!
本書では実践編として、「聞き分けがよく落ち着いた子」「運動が好きな活動的な子」「集中力があるかしこい子」「思いやりがあるやさしい子」などそれぞれの成長のために5つの感覚を活用する具体的な方法が紹介されています。ぜひご一読してみてください!
出版年月日:2018年05月22日刊
ISBN:9784799106570
定価:本体1,600円+税
内容
作業療法士(=リハビリテーションの専門職)の菅原洋平・未涼夫妻が、子どもの脳への生理学的なアプローチによる子育ての理論とメソッドを解説する育児書。
脳の仕組みを上手に利用することで、「集中力があって、かしこい子」「運動が好きな、活発な子」「聞き分けがよく、落ち着いた子」「思いやりがあって、やさしい子」を育てることができます。
親が子どもへの接し方を少し変えるだけなので、特別な費用や手間なども一切かかりません!
また、精神論ではなく科学的なアプローチなので、誰でも成果を得られます。
子どもの能力をグイッと伸ばし、多くの親が感じている子育てストレスを一気に軽減できる、驚きのメソッドを紹介します!!
目次
第1章 子どもが親の思いどおりには行動してくれない「本当の理由」
第2章 まずはぐっすり眠って脳を目覚めさせよう!
第3章 子どもの力を引き出す「5つの感覚」と伸ばし方
第4章【実践編】「聞き分けがよく、落ち着いた子」を育てるためのエクササイズ12
第5章【実践編】「運動が好きな、活動的な子」を育てるためのエクササイズ17
第6章【実践編】「集中力がある、かしこい子」を育てるためのエクササイズ14
第7章【実践編】「思いやりがある、やさしい子」を育てるためのエクササイズ13