DAY10.「何が言いたいの?」と言われる
DAY10.「何が言いたいの?」と言われる
オレと同期入社の、新卒のヤツがいる。
この間、送別会の幹事をした彼だ。
頑張っているヤツなんだが……。
上司からよく「何が言いたいの?」と言われている。
そしていまも、
「君は何を言いたいのかわからない」
とキツく言われているのを、オレは横目で見ていた。
(オレもあんな時期があったな~)

でも、その日は特に、ヤツがへこんでいるようだったので、
上司が会議に出て行ったすきに声をかけた。

「さっきは、厳しく言われてたみたいだけど、大丈夫か?」
「はい……。
サーバーの容量がだいぶギリギリになってきたんで、
それを、上司に報告しにいったんです」
「それで?」
「え?」
「それで、『どうしたい』って、言ったの?」
「いえ……」
「なるほど。
それじゃあ、『何が言いたいのか』
って言われてもしょうが……」
「う゛……」

「あ、スマン。
ま、よくいう『結論から話す』ってことだよ」
(注;「何が言いたいのかわからない」と言われる理由
上司が不満を持つのは、上司が想定する「ゴール」のセリフがないからです。
上司は「結局どうしたいのか」という話があるはずだと想定し聞いています。
『仕事ができる人の逆転ワザ42』CASE31より、一部抜粋、編集)
「そうですよね。
言われてみればたしかに」
「うん。だからさっきのサーバーの容量の話だと、
『増設したい』ってのがゴールだろ?」

「はい!」
「もうワンランク上のアドバイスをすると、
判断材料を示すこともできたらなおよしだ」

(注;判断材料を提示
上司が求める話し方は、例えば、
「サーバー容量が50ギガバイトを切り、残り少なくなっているので
ハードディスクを増設したいのですがいかがでしょう。
3テラバイトのものが3万円で購入できます。
それだけあれば、2年は大丈夫だと思います」
このように話せば、上司の期待通りになります。
判断材料を提示した上で、判断を求めるということです。
『仕事ができる人の逆転ワザ42』CASE31より、一部抜粋、編集)
「そっか〜。
そう報告するほうが、上司だってラクですよね」
「だろ?」
「ボク、もう1回上司に、
報告と提案をしてきます!」

そう言って、彼は張り切って、
自分のデスクに戻り、PCで作業をし始めた。
──
その日の夜、
久しぶりに、『仕事ができる人の逆転ワザ42』
を開いた。
「おぬし、なかなか良いアドバイスをするではないか」

「やっぱり聞いてたんだな」
「ふむ、ワシはセンニンじゃ。
自由自在じゃからな。
ところで、もう1つ、ワシからもアドバイスをするとじゃな」

「そうくると思ったよ」
「ムム……。
黙って聞きよれ。
さっきのサーバー増設の話じゃが、
『選択肢』もつけるとなおよいぞ」
「というと……?」
(注;選択肢
例えば、
「サーバーを増設するという案のほかに、多少不便にはなりますが、
3年以上前のデータを圧縮するという選択肢もあります」
と言い、両案のメリットとデメリットを提示して、
「どちらがいいですか」というようにします。
『仕事ができる人の逆転ワザ42』CASE31より、一部抜粋、編集)
「たしかに。
そこまでできたら完ぺきだ。
明日、また後輩に伝えとくよ」

翌日、会社で
「選択肢もつけるといい」
と、彼にアドバイスしたところ、
とても納得した様子だった。
上司からも褒められたようだ。
(公開日:2016年10月14日)
[DAY10.完]
監修:濱田秀彦
文:すばる舎リンケージ「逆転」委員会