DAY4.なんで「言ってることわかる?」って聞かれるんだろう
DAY4.なんで「言ってることわかる?」って聞かれるんだろう
「ワシの言っとることがわかっとるか?」

「え? わかってますよ」
ある日、本を読もうと本棚を眺め、結局いつものように、
『仕事ができる人の逆転ワザ42』を開けると、
センニンのおなじみの講習が始まったのだ。
だが、なんだか今日はつっかかってくる。
だいたい、オレは本を読もうとしているのに、
どうしてセンニンの話を聞かなきゃいけないんだ。
「本当に、おぬし、わかっとるか?」
「だから、わかってますって」
オレは、手もとの本を眺めながら答えた。
「アチョ~!!!!」
ポコッ!
「イタっ!」

「おぬし!
それだから、何度も『言ってることがわかるか?』と聞かれるのじゃ~!!
会社でも、友人とでも、家族とでもそうじゃろうが! いい加減気づかんか!」
「なんで、センニンがオレの友だちや家族のこと……」
ポコッ!
「そんなことはどうでもいい!
なぜ、『言ってることがわかるか?』と聞かれるか
わかっておるかと聞いておるのじゃ!」
「それは……」
そういえば、なんでそう聞かれるんだろう。
実は、よく言われるけど、
なんだかバカにされているような、頭を押さえつけられているような、イヤな感じがするな、
と思うだけで、なぜそう言われるのかは考えたことなかったな。

「見当もつかぬようじゃな」

「ムッ……」
オレは思わず、センニンをにらみつけた。
「それじゃ!!」
「は?……」
「おぬし、今日はじめて、ワシの話に〝反応〟したな。
にらむのは、ちと関心せんがな。
だが、それこそが、『言ってることわかる?』と聞かれないコツじゃ」
「反抗心を持つことが?」
「違~~~う!! よいか、相手が『言ってることわかる?』というのは、
聞き手のレスポンスがない時じゃ。
つまり、『少しは反応してほしい』という想いがあるのじゃ。
おぬしは、ワシがせっかく教えを授けておるのに、さっきから、手もとを見てばかりじゃった。
これでは、聞いてないのも同じ。
一番いいのは、あいづちを打つことなのじゃ」

(注;あいづち……反応の基本は、あいづちです。
このあいづちは、うなずきと言葉から成り立っています。
うなずきは、相手の話のペースに合わせてします。
話している相手の顔を見ていると、話しながらかすかに上下していることがわかります。
それにあわせると、ペースがあわせやすくなります
『仕事ができる人の逆転ワザ42』のCASE16より)
「あいづちはもちろん、より、相手が『伝わった』と感じるのは、
重要な部分を繰り返すことじゃ」

(注;相手が強調する部分を繰り返す……リピートをすると、相手は「伝わった」と感じます。
ただ、すべて繰り返していては会話になりませんので、繰り返すのは重要な部分だけ。
相手が強調している部分を聞き分けて繰り返します。
『仕事ができる人の逆転ワザ42』のCASE16より)
なるほど……。
言われてみれば、どれもできていない気がする。
「わかった……。
明日からは意識的に〝レスポンス〟をしてみるよ」
オレは、センニンの目をしっかり見てそう言った。

翌日、話が長いとうわさの部長との半期末面談では、オレの番だけ、サクッと短く終わった。
もちろん、まだ入社半年というのもあるだろうが、
部長が発する言葉を聞き取り、あいづちを打ちながら、
重要そうな言葉を繰り返すと、
「キミ、よくわかってるじゃないか」と、満足げだった。

(公開日:2016年10月5日)
[DAY4.完]
監修:濱田秀彦
文:すばる舎リンケージ「逆転」委員会